食器棚のリメイク
とても古い食器棚をリメイクしました。 リメイクといっても形は変えずに、傷んだ部分の修理、交換、塗装のし直しといってベーシックなリメイクでした。 お客様のご両親が使われていた食器棚で、これを綺麗にしてお客様が営んでいるお店で使いたいとのこと。 お預かりした家具は、長年の使用で色々とガタが出ていました。 側面には時代がうかがえるシールが貼られています。 底板はどれも痛みが激しく、引き戸や中段のスライド天板、引出しなど、可動部分もギチギチとスムーズに動きません。引き戸のレール部分も、長年の使用により溝が削れてうまくスライドしない状態でした。 なにはともあれ、まずはバラして塗装を剥がします。 引き戸の枠もガタつきがあったので、分解して接着し直しました。 この食器棚はナラで作られています。ナラは散孔材といって、小さい穴がたくさん空いています。 そのため、塗料がその穴に染み込み、塗装を完全に落とすには1ミリ近く削らないといけません。 同じような色で再度着色する場合は、少しぐらい残っていても目立たないので大丈夫なのですが、今回は白木にする可能性もあったので、塗装を落とすのが大変でした。 サンダーでは時間がかかってしょうがないので、鉋で塗装ごと削っていきます。 塗装を落としてみると、ナラの味わいがとてもいい感じでした。 古いナラ材なので、経年変化で飴色になっています。 虎斑と言われるナラ独特の杢目が出ていたり、3連の引出しの前板の木目がつながっていて、1枚の板から作られていることがわかったり、すごく良い作りの家具でした。 合板は新しく交換、削れたレール部分には新たにナラ材を埋め込んで、溝を掘り直しました。 スライド天板と下段の引き戸は中板が割れていたので、ナラの突き板を貼った合板に交換しました。 塗装前にお客様に確認いただいて、着色せずにそのままの色でクリア塗装することになりました。 こんなに綺麗になるなら、せっかくだからガラスも透明ガラスに交換して、飾り棚にしますとのこと。 元々はリメイクしたこの家具は背中をお客さん側に向けて、掲示板として利用する予定でした。 ガラスを透明ガラスに交換して、お店に持って行きました。 そのお店は薬屋さんなのですが、地元のお店という感じで、お客さんはその町に住むご老人が多かった印象です。 待合スペースの目立つところに今回リメイクした家具を置いてくださり、待っているお客さんがこの家具を見て何かを感じてくれたら嬉しいなと思います。