好きな人
半分趣味みたいなものですが、テーブルとは何か?椅子とは?人はなぜ木に惹かれるのか?この時代に家具を作るとはどういうことか?今はどんな時代か?みたいな疑問について考えるのが好きで、そんな本を好んで読んでいます。
今読んでいるのは、「木工の世界」早川謙之輔著です。まだ途中なので、読み終わってから改めて感想を書こうと思います。木工とは削る事、らしいですよ。面白いです。
さて、そんな私ですが、家具の好みというのはあまりありません。どの時代の家具も、どの地域の家具も、それぞれすごいなあと思います。それでも気になる人はいて、そのうちの1人、マルチーノ・ガンパーについて書いてみようかなと思います。
去年、四国の丸亀でガンパーの「100日で100脚の椅子」展が開催されていました。
すごく行きたかったのですが、四国まで行くお金も時間もなく。。
彼の紹介文でよく見るのは「美術とデザインの領域を越えて活動」という言葉です。たしかにアーティストなのか家具職人なのか、彼のしている事を見ていると、どっちなのと思います。
そこに僕は共感します。
おそらく彼にとって、アーティストなのか職人なのか、そういうジャンル分けは関係ないのではないでしょうか。それよりもどうやってモノを作るのか、家具はどうやって出来ているのか、そっちのほうが気になってしょうがない。
もしかしたら、ガンパーは「僕だって出来ることなら、どっちかになりたいよ。でも、僕が作るとこうなっちゃうんだよ。」と言っているかも。
「評論家は僕の事を、領域を越えての活動と評してくれているけど、僕にとっては一生懸命考えて作った結果なだけなんだよ。自分の手に入れられる材料で、精一杯作ってみた結果さ。」
と。
勝手な私の想像なんですが、さらに勝手にそんなガンパーに自分を重ねちゃうんです。その気持ち、わかる!って。
昔、まだ私が大学の研究室にいた頃、恩師に言われた事があります。
「神は笑う。人間は働く。ピエロは旅をする。君はピエロじゃないか?」
だいぶ記憶が曖昧で、どこかヨーロッパの詩で、人間が何をしているのかいまいち思い出せないのですが、とにかくピエロは旅をしていて、私はそのピエロのようだと。
そのとき、ずっと私が抱えてきた心の中のモヤモヤを、うまく説明してくれたって思いました。
私は職人という仕事が、この世の仕事の中で一番かっこいいと思っています。
職人になることにずっと憧れています。職人になりたい。
でもなりきれない。職人として技術への興味がある反面、デザイナーが興味を持つような事も気になってしまって、そっちに重きを置いてしまう事もあるんです。そんな自分を勝手にガンパーに重ねて、好きになってます。
最後に、ガンパーのアイデアをひとつ紹介。
料理を作るように家具を作りたいと思ったガンパーは、まず何種類かの形のパーツを木で作ります。確か12種類だったかな。それら12種類の形のパーツをたくさん作っておいて、それらが出来上がってから家具のデザインを始める。
12種類の形のパーツをどう組み合わせるか、そうやって家具を作ってみる。
そんな試み、面白いなと思います。