色と塗装

何が私の得意かと聞かれたとき、色彩感覚かなと思うのです。木工をはじめる前は、映像やデザインの世界で生きていたので、配色や色感情についてはいつも考えていました。

色を使う事が好きなので、なぜ家具は茶色ばかりなのだろうと思う事もあります。かといって素材自体の色に勝るものはないとも思っています。この辺は葛藤で、天使と悪魔ではないですが、着色しようよという声と、いやこのままが良いんだよという声が、自分の中でせめぎあっています。この葛藤がいずれ何かの形で出てくるのではないかと期待しつつ、今はこの葛藤を抱えながら家具作りをしています。

また、寄木細工に見るように、木の素材そのままの色でも、それは多様です。組み合わせ方によっては、素材そのままの色でも、色々な感情を生み出せると思います。

木の種類だけでなく、同じ木の中でも心材と辺材では色が違いますし、木目という模様が入り、決して均一ではありません。一枚板に見えるような接ぎ方、虎斑や鳥眼杢などの杢、節は良しとしないなどの、昔ながらの木の使い方はありますが、現代では人の考え方も変わってきていますし、現代なりの木の使い方、組み合わせ方があるはずです。

そのためにはもっと木を知り、技を覚えないといけませんが、色を含めた木の使い方、木の新しい表現を追求していければと考えています。

塗装について

私の工房ではセラウッド、ウレタン、オイル塗装からお客様に選んで頂きます。

基本的には着色せず、材料の色そのままにすることが多いでが、ご希望で着色も可能です。

それぞれ一長一短あるのですが、おすすめしているのはセラウッド塗装です。ウレタンとオイルの良いとこ取りのような塗装で、ウレタン以上の耐熱性とオイルフィニッシュのような質感を持っています。特に汚れやすいテーブルに向いているのかなと思います。

また、使い込まれた感じをだすために、ペンキを塗って剥がすエイジングや、漆喰や砥の粉を塗った後にセラウッドでコーティングするといった変化球の塗装もしております。