子供の頃の作った思い出

僕は小さい頃から作ることが好きでした。
絵を描いたり、工作をしたり。

 

子供の頃の、作った思い出はたくさんあります。

 

一つは、幼稚園の頃の思い出です。
僕が教室で、戦艦の絵を描いてました。
戦艦と言っても、横から見た戦艦のシルエットのような絵です。
下側は船体があって、甲板に大砲や司令室みたいなゴツゴツしたものが書いてある、簡単なものです。
しかし、描いていると、他の子がやってきて、「僕にも描いて」と言います。
簡単な絵だったので、「いいよ」とその子に描いてあげてると、また他の子がやってきて、僕にも描いてと言う。何人かの順番待ちまで出来ました。
僕には、なんでこんな簡単な絵を欲しがるのか、不思議でした。
誰にだって描けるだろうに、なんで僕に頼むんだろう、と不思議に思いながら戦艦の絵を描き続けていました。

 

戦艦の絵

 

次に思い出すのは、「涼み箱」です。
学校の工作の授業の宿題だったと思います。
小さな木箱を渡され、それを使って自由に工作してきてくださいという宿題だったと思います。
その頃、僕にはお気に入りの扇風機がありました。小さな手持ちの扇風機です。
筆箱ぐらいの大きさで、平べったい四角い扇風機です。
スイッチを入れたら、中のファンが回り出して、涼しくなるのが楽しくて、よく遊んでいました。

 

なぜ、そう考えたのか、今となっては忘れてしまいましたが、その木箱の蓋を開けたら、扇風機が回り出すって最高じゃないかと考えたのです。
そして、小学生の自分が色々とどうやったのか不思議ですが、蓋を開けるとファンが回り出す箱を作りました。
扇風機を分解して、電池と配線とファンを取り出し、木箱の蓋にヒンジをつけて片開きにしました。箱の内部に、ファンと電池、配線を仕込みました。
蓋が開いたら、その蓋に引っ張られる仕組みで、配線が接触しファンが回り出します。
その仕組みに爪楊枝を使いました。

 

自分で作っておきながら、仕掛けがうまく働き、蓋を開いたらファンが回るということに、すごく感動したのを覚えています。
その箱を「涼み箱」と名づけ、木箱の表面に涼み箱と彫り込んで、色を塗りました。

 

また、家族も巻き込んで作ったのが、お化け屋敷です。
僕には両親と妹がいるのですが、確か、母親の誕生日だったと思います。
家をお化け屋敷にして、お母さんを驚かせてやろうと思いつきました。

 

コースは、リビングをスタートして、僕の部屋、お風呂、両親の寝室、キッチン、妹の部屋でそれぞれアイテムを取って、リビングに戻ってくるというもの。
家中の電気を消して、お母さんにはルートが書いてある地図と、懐中電灯を渡します。

 

僕の部屋には中央にベッドが置かれていたのですが、そのベッドの上にアイテムが置いてあります。僕と妹はベッドの下に潜り込み、お母さんがアイテムを取りにベッドの上に乗ったら、下からベッドを押し上げて揺らす。同時に、棚の扉にくくりつけた紐を引っ張って、扉をバタバタさせる。
ベッドの下で、お母さんが来るのをドキドキしながら待っていたのを覚えています。

 

お風呂には、お湯を溜めて赤い絵の具を溶かして、血の池にしました。
血の池にアイテムが沈んでいるから、手を突っ込んでアイテムを探さなくてはなりません。

 

寝室にはお父さんがシーツをかぶって潜んでいます。
僕の部屋で役目を終えた僕と妹は、お父さんがお母さんを驚かせてる間に、キッチンへこっそり移動して、次の準備をします。

 

キッチンでは、怪しいお面を被った人が変な踊りを踊っているという仕掛け。
画用紙に描いた変な顔を切り抜いてお面を作り、それをかぶってお母さんを待ちます。
仏像が動き出すみたいなイメージだったので、あぐらをかいて、手をウネウネと動かしてたような気がします。

 

このお化け屋敷は好評で、2回目もやったような気がします。

 

変な踊りを踊る兄弟

 

こんな感じで、何かを作った思い出は尽きません。
他にも、ビックリマンの絵を描いたら、母親がえらく気に入って額に入れて飾ってくれた、とか、父親が僕の部屋に忍び込んで驚かしてくるのを防ぐために、部屋のドアが開くとビー玉が落ちて侵入を知らせてくれる装置を作ったりとか。

 

今思うと、何かを作った達成感もありつつ、それを見た周りの人たちの反応が好きだった。
感心して目をキラキラさせてくれたり、驚いてくれたり、笑ってくれたり。
そういったことが、僕の原体験になっていると思います。
だから、今でも、家具を作る前に一度お客さんに会いたいなと思います。
会って、その人が喜ぶ姿を想像しながら作りたい。

 

僕のお客さんは個人の方が多いのも、そういった理由です。
工務店や設計事務所を相手に、図面をもらってそれを作るという仕事は、確かに効率や利益を考えたら良いのは間違いないのですが。
今まで何度かそういうお仕事もしてきましたが、お客さんの顔が見えないそういった仕事は、どうにも僕には合わない。