家具のリメイク2

私のリメイクのスタンスとしては、3つ特徴があります。

(1)元の塗装を剥がし、木そのままの味を生かす

多くの家具が着色ウレタン塗装をする理由、それは安い材料を高級な材料に見せるため、節や傷など木材の小さな欠点を隠すため、傷がつきにくくクレームに繋がりにくいため、作る側の色々な理由が思いつきますし、手入れがし易い(メンテナンスフリーで水拭きができる)というお客様のメリットもあります。

私は、安い材料を使うために、良い材料の良い部分を消してしまってはもったいないと思いますし、木材の欠点もそれが家具の味になるなら、それを隠す必要はないと考えています。
家具は生活の道具ですから、使っているうちに傷がつくのは当たり前のこと。傷がつくのを防ごうとするのではなく、傷がついてもそれが嫌味にならない、傷を受け入れられる懐を家具に持たせてあげる、そんな風に考えています。

(2)なるべく元の家具に使われていた材料を再利用する

木を捨てるのはもったいない。
せっかくリメイクするのだから、多少手間がかかっても、元の材料を使ってあげたい。
目に見える部分はもちろんですが、普段見えない部分にも、元の材料を加工し貼り合わせて使うようにしています。

(3)余分な装飾は省き、シンプルな形にする

私自身の家具のスタイルは特にありません。
特定の家具のスタイルに傾倒しているわけではありませんが、私の好みなのだと思います。
私が彫り物ができないという事もあるかもしれません。
挽物はやりますが、複雑な加工がしてあるものよりも、直線やゆるやかな曲線を好みます。

技術がなくて、自分では凝った装飾が作れないという事が大きい気がしますが、仮に作れたとしても見た目の派手さではなく、その構造だったり材料の接合部に手間をかけるような気もします。

家具のリメイクについて

私も最初からリメイクをしたかった訳ではありません。
むしろ修理の延長のように考えていて、手間はかかるし、手間賃と同じ額を出せば、新品を買えてしまう。
新品が買えるんだから、みんな新品を買い、わざわざ高いお金を出してリメイクする人なんていないだろうと。

そんな認識だった私ですが、それは間違いでした。
大切な家具をリメイクして使いたいというお客様がいたのです。
新品を買えるような額を払ってでもです。

お金じゃないいんだな。

大切なものは、それが例え安い家具だろうと、大切なんだ。

以前、鏡台を修理したことがあります。
それはおばあちゃんが使っていた鏡台で、これから嫁にいく娘にプレゼントしたいのだそうです。
3代にわたって使い続けられることになったこの鏡台ですが、そんな高級なものではなく、こういってはなんですが、材料は決して良いものを使ってはいませんでした。木目がプリントされた合板でした。

汚くなった部分を簡単に塗装しなおしてという依頼だったのですが、実際はかなり痛んでいて、そのまま塗装だけ直して納品してしまうこともできたのですが、おばあちゃんの鏡台という話を聞いてしまったので、娘さんがすぐに捨ててしまわないよう、最大限の修理をしてしまいました。

それこそ、全部一度解体して、傷んだ部分を接着、パテで埋め、再度組み立て、塗装も全部やり直してしまいました。あまりにきれいにしすぎて、おばあちゃんが使っていた味がなくなってしまったかなと、少し心配してしまったのですが、お客様は感激してくださりました。
ほっと胸を撫で下ろしたのを覚えています。

今では認識を改め、リメイクの仕事を誇りに思うようになりました。
家具を代々伝えていく手伝いができるなら、それはとても素敵な仕事ではないかと。

長くなりましたが、リメイクについてのエッセイはこれで終わろうかと思います。
これからも、リメイクの仕事、続けていきたいな。