私のWORKSに載せてある、紫檀の座卓をリメイクしたダイニングテーブルを見て気に入って頂き、同じような感じで仏壇をリメイクできないかとお問い合わせいただきました。
メールで何度かやり取りした後、お客様のご自宅に伺い、実物を見ながら打ち合わせしました。
サイズを小さくしてシンプルに、伝統的な形のままではなく飾り棚タイプにリメイクすることに。
後日、打ち合わせ内容を元にデザインをして、完成イメージと寸法図を送りました。
無事にGOサインが出ましたので、仏壇を送って頂き、ばらしました。
買い替えも検討されていたとのことで、痛みの大きい部分もあったり、思ったより無垢材が少なくてリメイクするには材料が足らなかったので、仏壇を載せるテーブル部分は新たな材料でやることにしました。リメイクした仏壇は上の仏壇部分と下のテーブル部分とに分かれていて、背の留め具を外すと、下は引出し付きのサイドテーブルとして使えます。
苦労したのは、4枚折れ戸の扉部分です。
アクセントにメープルを枠の内側に貼付けたのですが、これをするために、扉部分は全部バラす必要がありました。
写真にもあるように、湯煎して接着剤を溶かし、枠はもちろん、見付に貼られている唐木の化粧材まで剥がします。
バラした後、枠の内側にメープルを貼り、唐木の化粧材を貼り、その曲面に合わせてメープルを削り、また1枚1枚扉を接着して組み直しました。
サイズもひと回り小さくなりますので、組み直す前に、それぞれの材の寸法直しもしてあります。
なるべく元の材料を使いたかったので、無垢材の部分をかき集めて、接ぎ直し必要な寸法の板を作っていきました。
下側のテーブル部分は、天板と脚は新しいサクラ材を使いましたが、引出しの前板、中の箱は元の材料を使っています。
引出しの前板は、元の仏壇下側に使われていた2枚の引き戸を使っています。
引出しを開けた写真を見て頂くと判りますが、引出し前板の上面と側面には、引き戸の見付に化粧として貼られていた唐木が貼られています。
4枚折れ戸と同じように、湯煎して引き戸をばらしてみると、唐木の下から出てきた下地の材料も、赤味が強くきれいな表情をしていました。なので、それはそのまま活かし、化粧の唐木は引出しを空けた時に見える位置に貼り直しました。
このように、全体的に手道具を使った細かい作業が多く、かなり時間がかかってしまい、お客様にはお待たせしてしまいました。
完成品を納品に伺うと、とても喜んでいただき、ほっと安心したのを覚えています。
私としても好きなリメイクの仕事ができて嬉しかったです。
レトロモダンというのでしょうか、モダンなのにどこか懐かしい、和家具の要素もありながら洋家具の要素もある、私の目指す境界を自由に行き来する家具を作る事が出来て、心の中でガッツポーズでした。
木の無垢材の良さは、なんといってもこの再利用が出来ることだと思います。
古くなった家具で使い物にならないと思っても、それはだいたい塗装が剥げているか、接着剤が劣化してゆるくなっているだけで、板自体は生きています。
塗装を落とし、皮一枚削るだけで、また新品同様になってくれる無垢材は、今回のように形を変えて使い続けられるのです。
こんな考えだから、私は無垢材が捨てられず、どんどん端材が工房に溜まっていき、それはそれで困るのですが。。
w57cm × h125cm × d45cm
¥200,000
紫檀、黒檀、サクラ