2021, display table
展示テーブル
size
w100cm × h150cm × d100cm
price
-
Material
アクリル、メラミン、合板
設計と制作のはざまで
葛西臨海水族園で2022年にオープンした特設展「いきものまぢか」。
この特設展に設置される什器を作らせていただきました。
プランクトンを拡大した映像を、大きなスクリーンに投影させるのですが、そのための顕微鏡を置いておく展示テーブルです。
円形の天板に、収納を兼ねた脚があって、天板には顕微鏡が乗っています。
苦労したのは、顕微鏡のカバーです。
idea
この展示は、ガイドさんがその場でプランクトンをスライドガラスに垂らし、顕微鏡にセットします。リアルタイムに動くプランクトンを見ることができる展示なのです。
なので、ガイドさんがスライドガラスをセットできるように、顕微鏡カバーには扉が必要です。スタッフの方からイメージの説明があった時は、アクリル板で囲った立方体でした。
木で四角形の枠を作って、中板にアクリルをはめ込む感じです。
challenge
ただ、それだと、無骨というか、木の枠が見る人の視線を遮るし、見た目も堅苦しい。そこで思いついたのが、アクリルパイプを使った円形のカバーです。
引き戸にすれば、扉に金具をつける必要もなくなるし、視線を邪魔しないスッキリしたカバーになるのではと、提案しました。
material
提案が通り、円形のカバーを作ることになったのですが、言うは易しで、作るのは大変でした。NCがあれば楽にできるんでしょうけど、私にはそんな設備はない。
円形に溝を掘るためのガイドを何種類も作って、加工するための治具を作ってと、カバーの上下の枠を作るのにだいぶ時間がかかりました。
しかも、何を考えていたのか、この上下の枠は無垢材で作ってあります。
白く塗装するから、MDFなどの木質材料でよかったのに、角材を長手方向に八角形に組んで、それからドーナッツ状に加工してあるのです。
おそらく、引き戸にすると、開け閉めするたびに溝の内部が削れてしまうから、耐久性を考えて無垢材にしたんでしょうけど、この加工の手間を考えるとMDFでも良かったんじゃないかと昔の自分に言いたいです。
まあ、出来上がってみると、特設展の背景にも馴染んで、展示を邪魔しない什器にすることができたと満足しております。
スタッフの方にもかっこいいと言っていただき、嬉しかったです。