2019, kitchen
古材のキッチン
size
w482.5cm × h85cm × d63cm
price
-
Material
ラワン古材、Fenix ntm
ラワンの古材が主役
去年(2018年)の春ごろだったでしょうか。
一通の問い合わせのメールから始まった仕事でした。
お客様のご自宅を新築するので、そこの家具を作って欲しいとのご依頼でした。
何かテーブルや棚でも作るのかなと想像しつつ、実際にお会いして話を伺うと、お客様はベテランの建築家さん、しかも作るのは古材のキッチンや建具。
今までキッチンを作ったことはありませんでしたし、現場で大工さんと絡む仕事の経験も数えるほどでした。
ちょうどその頃、精神的にも落ち込んでいて、木工を辞めてどこか就職したほうがいいんじゃないかと、思い詰めていた時期でした。
気持ちが不安定な状態で、この大変な仕事を乗り切れるのだろうか。
そんな感じだったので、一度はこの仕事を断ろうとしました。
ですが周りの人達や家族の助けもあって、何よりお客様の私を信じる力に後押しされ、この仕事を引き受けることにしました。
idea
キッチンのカウンター台と吊り戸棚の扉は、寄木して作ってあります。
家自体が斜めを多用しており、フローリングや天井の梁も斜めになっています。
その「斜め」を家具にも取り入れて、三角形が並んだような模様にしました。
material.1
カウンタートップと、棚、引き出し箱内部は、Fenix ntmというイタリア産のメラミンを使っています。このFenixも素敵な材料で、マットな質感と微妙な色合いがなんともいえず、いいんです。
見えない部分にこのFenixを使うなんて、粋な感じがしますよね。
material.2
寄木の材料もまた珍しいのですが、これ全部ラワンの古材です。
長くなるので、ラワンについては次の家具、建具のページで説明することにします。
お客様も、勇気がいったと思います。
建築家の自宅を作るって、その人の建築理論の集大成的な意味があるから、大事だと思うんです。
その大事な機会に、何の実績もない私に仕事を頼むわけですから。
引き受けたからには、期待を裏切らないようにと、それから半年近く打ち合わせや、図面製作に費やし、なんとか2018年の暮れ、もうすぐ正月という頃に完成したのでした。
前置きが長くなりましたが、このページはその新築のキッチンの紹介です。
私が作れない部分は、木工所に勤める友人に手伝ってもらい、アイアン部分はお馴染みのThorns D&Cに作ってもらいました。