久しぶりにこのスツールを作りました。
お客様からこのスツールが欲しいと注文いただき、制作することになりました。
今回のお客様は初めての日本人。今まで4脚このスツールを作って、そのうち3脚が売れているのですが、今までの2脚はどちらもアメリカ、NY在住の方でした。
普段からお世話になっているお客様で、初の日本人所有者ということで、私も気合いを入れて作りました。
このスツールは奇妙な形をしているので、何をイメージしているのかよく聞かれるのですが、特に何かをイメージしたわけではありません。
最初に思いついたのは、この構造です。
30センチ角の材を縦方向に使い、たくさん連結させることで、座面を作る。脚自体も座面のひとつになっています。
脚の貫板以外は木の繊維方向が縦方向に統一され、それらを一塊にすることで、木の収縮に影響されず、強度をあげられます。
また、このスツールは、座面に杉、脚にヒノキを使っているのですが、家具材には不向きとされる柔らかい針葉樹でも、この構造なら使う事ができます。
日本の林業の衰退により、危険な状態にある人工林。微々たる量でも国産の針葉樹を使う事ができているのは、このスツールの良い所だと思います。
このスツールのデメリットは制作に手間がかかるため、どうしても単価が高くなってしまう事です。
しかし、中にはこのスツールの奇妙な形や作品性を気に入ってくれて、購入してくれる方が年に一人現れます。
今後も制作方法を工夫し、単価を安くする努力をしつつ、購入して頂ける方を年に2人、3人と増やし、このスツールを作り続けていけたらと思います。
w30cm × h40cm × d30cm
¥128,000
杉、ヒノキ