桐たんすを仏壇にリメイクしました。
この桐たんすはお客様のお母様が使われていたもので、亡くなられてお客様の元にやってきたものでした。
形見の家具で仏壇を作るなんて粋ですよね。
また、この桐たんすは、私に桐たんすの事を教えてくれた師匠が、まだ若かりし頃30年近く前に納めたものでもありました。
そんな縁のある桐たんすだったので、気合を入れてリメイクしました。
最初にお客様のご自宅へ話を伺いに行くと、2棹の桐たんすがあり、その内1棹を仏壇にして、もう1棹は廃棄する予定とのことでした。
まだその時はどういった仏壇にするか決まってなかったのですが、材料として使えるかもと、その廃棄する予定だった1棹もお預かりしてきました。
お客様のご要望としては、位牌が5つあるので、それを置けるぐらいのスペースがある事、また扉は4枚折れ戸にしたい事でした。それらを踏まえて、さらにLED照明やアクセントとして唐木を使う事などを加え、ご提案させていただきました。
また、仕上げも一般的なとの粉仕上げではなく、との粉は塗らずに桐そのままにクリアウレタン塗装をすることにしました。
というのも、お客様のご自宅に伺った時、まだリフォームしたてでとても新しい状態だったのですが、素材の使い方など室内の雰囲気にイタリアっぽさを感じたからです。
私の勝手なイメージなので、正確ではないですが、北欧は木目のおとなしめの白木を使い、全体を柔らかい雰囲気にするのに対し、イタリアのインテリアはもう少しそれぞれの個性が強く、それらがうまいこと引き立てあっているような感じです。
なので、少し個性が強いぐらいのほうが合うんじゃないかと思ったわけです。
かといって、この仏壇が置かれるのは和室でしたので、和の雰囲気も残しつつ作りました。
この辺の全体の雰囲気作りは、私も最初から確信があったわけではなく、うまく行くかどうかドキドキしながら作っていったのですが、結果としては良い感じになったのではないかと思っています。
お客様も大変に気に入ってくださって、私も師匠の納めた桐たんすを無事にリメイクできたと、胸を撫で下ろしました。
元々廃棄する予定だった1棹のほうも、無事に材料として使うことが出来ました。
その引き出しの前板を、4枚折れ戸に使ったのですが、元々金具がついていた位置にシミが残っていたり、鍵穴を埋めた跡などが、昔の面影を残しています。
金具は、今回は黒染めに挑戦してみました。桐たんすをリメイクする場合、金具をどうするかは課題でした。
そのまま使うには、痛みすぎているし、新しいものに交換しても金具だけ新しすぎて浮いてしまう。何か良い方法はないものかと悩んでいたのですが、今回答えが見つかった気がします。
手間はかかるのですが、黒染めにすると見た目もきれいになりますし、青みがかった黒色の質感が古い桐たんすに良く馴染みます。
そういった意味でも、収穫の多い仕事になりました。
w94cm × h105cm × d45cm
¥350,000
桐、欅、唐木(黒檀、花梨)