仏壇のリメイク
それまで映像の世界で生きていた私は、木工を勉強し家具を作り始めてから、今まで知らなかった事を知る機会が増えたように思えます。
映像といっても、フィルムで映画を自主制作するようなものではなく、バリバリのデジタルでした。パソコンはなくてはならない道具で、撮影、編集、すべてデジタルでやっていました。
それに比べて、木工はとてもアナログ。知らない事がたくさんあるのも当然といえば当然です。
仏壇に関してもそうです。もちろん、仏壇というもの自体は知っていましたが、作る側の目線で見た事はなかったので、仏壇には黒檀や紫檀などの唐木という木が使われていて、唐木はとても硬いなんてことも初めて知ったのでした。
木工作家として独立し、細々と家具を作り始めてからも、唐木は特殊なものと思っていたこともあり、仏壇を作ることは考えませんでした。
そのうち、家具の修理をするようになってから、座卓や仏壇を触る機会が何度かあり、自分でももらってきた紫檀の座卓をリメイクしたりで、唐木を触るようになりました。
そして、ある日、お客様から仏壇をリメイクしてほしいと言われたことがきっかけで、本格的に仏壇をばらしてその構造、作り方を知るようになりました。
だからある意味、あなたは仏壇のリメイクをしなさいとお客様に教えてもらったようなもので、私に仏壇をリメイクさせたら良いものが出来るかもしれないと考えたそのお客様の先見の明に、感謝しております。自分の新たな可能性を教えてもらったような気がしています。
そして、こうも思います。
私は無宗教ですし、仏教の世界にも詳しくありません。そんな無知な私の素朴な妄想だと思って、許してください。もし不適切でしたら、ごめんなさい。
極楽浄土というのでしょうか、仏様がいる世界を表している建物や絵を見ると、その色や物質の豊富さを感じます。それは恐らく物が不足していた時代を生きていた人達が思い描いたからなのかなと思うのです。
物が豊富にある現代の日本人が、極楽浄土ってどんな所なんだろうと思い描いたら、逆に何もない、どこまでいっても何もない、でも心は満たされる、そんな世界になるのかもしれません。
仏教にもモダニズムがやってくる日がくるのかな。
長くなってしまったので、次に続きます。家具のリメイクについて思うことを書きました。